Specialized S-WORKS ROAD 開発秘話

2014年01月25日 08:00

SNSで告知があったSpecializedのプロダクトディレクターBrent Graves(ブレント・グレイブス)氏を招いて行なわれたトークイベントに参加して来ました。

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Specialized東京は神宮外苑から新宿に昨年引っ越ししたばかり。日本におけるSpecializedの旗艦店がどんな雰囲気なのかも気になる所でした。会場に付くと、今日質問したい内容等を含むアンケートに答え、サービスされた軽食をモグモグしながらトークショーがはじまるのを待ちます。

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講演を行うグレイブス氏は4年前にSpecializedに入社。3年間プロダクト生産管理を行い昨年からリミテッドエディションに関わる仕事をしているとの事。リミテッドエディションって言えばカベンディッシュモデルとかベッティーニモデルとかそんなやつです。もっとバリバリの技術系の人が来るのかと思っていたのですが、ちょっと違ったみたい。これはあまり突っ込んだ話は聞けないかなぁ・・・と覚悟しました。

ここから、現場でメモしたのを見ながらざっと内容を書きます。録音した訳ではないのでちょっとニュアンスとか違う部分あるかもしれませんがご了承を。

成り立ちと自転車業界に付いて
まずはSpecializedの成り立ちから自転車業界の大きな流れみたいな話から。創業者のマイク・シンヤードは自分の乗っていたVW BUSを売った資金を手に欧州へ渡り、イタリアでチネリを訪ねアメリカ代理店になり、帰国後クルマは売ってしまったので自転車で配達をしていたそうです。そこで、自分たちならもっといい自転車が作れると思ったそうです。

その頃、ヒッピー達がビーチクルーザーで山を駆け下りるクランカーズの話が出て来ます。この辺は作品にもなっているので知っている方も多いのでは?



その盛り上がりを聞きつけ、マイクは従業員を現場へ飛ばし2台の自転車を社へ持ち帰り研究し、当時最先端の自転車生産国だった日本へ生産を依頼します。それがSpecializedのMTBへと繋がっていくわけですね。1981年にリリースされた世界初の量産型MTBスタンプジャンパーは新家工業のOEMだった事は有名な話です。

本社はクランカーズが生まれたカリフォルニアにあり、ウォーターボトルはここで作られている。

ウインドトンネル
かなりの時間を割いて話していたのが風洞実験を行なうウインドトンネルの話。空気抵抗が一番の敵になるサイクルスポーツに置いて風洞実験自体は目新しい事ではありません。しかし、それらは飛行機や自動車用の施設を借りて行なっていました。しかし、それらの速度域は100キロを有に越えています。自転車の30キロから70キロ程度の速度域では十分な計測を行なえない。よって、自転車に最適な計測ができるように低速域で働くセンサーを配した風洞実験上をはじめて作ったとの事でした。このウインドトンネルはSpecializedが設計・製造したカーボン製のプロペラが使われているそうです。
以前、風洞実験はヨーロッパで行なっていてその時は年間約100時間程度だったが、現在は年間約1150時間も風洞実験に割いている。
単独走行はもちろんトレインを組んだときの空気抵抗なども実験で正確に知ることができ、開発に大きく貢献しているそう。どのようなフォームがエアロダイナミクス的に適しているか数値ですぐに確認できるので、プロはもちろんアマチュアやスキーのダウンヒル競技選手なども活用している。


VENGEはそこから生まれたわけですね

ランチライド
Specializedが大事にしているランチライド。ランチタイムに社員が自転車に乗る事が推奨されている。そこには世界チャンピオンだっているし、サイクリングペースで楽しむ人間もいる。今日は軽く乗ろうと言っていても自然に社員同士が競い合うような場面が日常茶飯事でそれが仕事にもいい影響を生んでいると事。
金曜日にはランチライド選手権が開催され、そのチャンピオンは世界王者の証でもあるアルカンシェルジャージを一週間着用する事が許される。

Competition,Passion,Talent Cycling#1
RIDER FOCUS

プロダクトではなくライダーに注目している。シマノの開発したSISやSTIは誰でも自転車に楽しめる、よりライディングに集中できるようになった。これらの開発によりダンシング中でも正確にシフトできるようになるなど、自転車の乗り方も変えるような革新的なシステム。しかし、今はこのような革新が起きていない。UCIルールがあるので今後も難しい。

INNOVATE OR DIE
UCIルールのないトライアスロンバイク SHIVを開発した。このストーリーは特に気に入っている。(レントゲン撮影されたSHIVの写真を見ながら)この自転車は補給用のウォーターボトルをダウンチューブに内蔵した。これはエアロ効果を狙って開発された。その発想はエリック・ビューエルの開発したオートバイからインスピレーションを受けた。ビューエルは燃料をフレームに、オイルはスイングアームに入れている。このレントゲンは馬用の設備を使って撮影した。

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MTBを例にとると・・・
70年代:ヒッピーによるクランカー
80年代:フィットネスブーム
90年代:シリアスレーサー
00年代:エクスペリエンス(体験や感動)

RE INNOVATIONとINNOVATIONを繰り返していく

ベッテルのF1マシンは買えない
ロレンソのMotoGPマシンは買えない
しかし
カベンディッシュの世界チャンピオンロードバイクは買える!

Specializedはライダーに注目してライド・クオリティーの向上を目指している。

リミテッドエディションについて
昨年販売したシャバネルのバイクはあっという間に完売した。ツール・ド・フランス中で、それも彼の(たまたま)誕生日にプレゼントしたS-WORKSでエスケープを決めた事によりアナウンサーもスペシャルバイクに付いて多くコメントをした。

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どんなバイクにするかシャバネルと話し合い、彼の好きなアメリカンホットロッドのイメージを取り入れようとした。特に愛車(愛車と聞いた気がするのすが不明です?)カマロのボディーがオレンジでボンネットがマットブラックだそうで、それをメインカラーとした。そして彼の足に入っているTATOOの模様を入れた。

Q&A
Q:S-WORKSとそれ以外のバイクの違いは?
A:型とプロセスは同じ。マテリアルとレイアップスケジュールの違い

Q:剛性を上げる方向で進化してきたがウィップを積極的に使って性能を挙げるフレームにつててどう思うか?
A:剛性はもう必要のない所までいってしまっているのかもしれない。剛性にもいろいろあるがネジレ剛性は上げていく必要がある。ライド・クオリティーを向上させる為にバランスを重視する事が大事。

Q:2014年モデルでアルミのS-WORKSが復活したが狙いは?
A;カーボンがもっとも優れた材質だと思っている。キャノンデールがCAAD10でいいバイクを使っている事もあり、アルミの可能性をもう少し追求しようと思った。

私の質問
Q:フレームの量産生産設備を持たないSpecialized社はどのように開発しているのか?フィーリングだけの指示なのか?それともカーボンの細かいレイアップなども指示をしているのか?
A:工場に担当を駐在させている。私達の満足できる設備や規模を持つ会社は少ない。(どこかで作ったものに対して)「コレと同じ物を作ってくれ」と言う会社もあるが、Specializedではそれはあり得ない事。

Q:開発期間について
A;SHIVは36ヶ月。ターマックはシンプルなのでもっと短い。

他にも面白い質問がありましたが割愛させて頂きます。

感想
質問内容からすると、やはりもっと突っ込んだプロダクトの話を聞きたがってる人が多いと感じた。恐らく、ここに足を運んだ人はそれなりに経験があり、自転車についていろいろな思いを抱いている人達だから。また日本人の気質もあるんだと思われます。その点からすれば少々物足りない部分はありましたが、オートバイ&クルマ好きにとってはエピソードがなかなか面白く2時間のトークショーはあっという間でしたと。



トークショーが終わったらシャバネルのカマロの件を詳しく聞きたかったんだけどな(苦笑)多くの参加者に囲まれてすっと質問攻めにあってました。シャバネルバイクの色違いで「もし自分用にSpecializedがスペシャルバイクを作ってくれたら?」っての妄想していたりします。

試乗会もいいけど、こんな風に理解を深めてくれるイベントもいいですね。Specialized JAPANさんありがとうございました。

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